第97回海外にある不動産を相続したとき放送日:2020.03.12

  • 【被相続人が海外に在住】
    登場人物: 夫(死亡)、妻(質問者)、息子
    財産内訳: 預貯金(1000万円)、不動産(3000万円)
  • Q.
    長年海外に在住していた夫が、先日亡くなりました。相続人は私と子供の2人ですが、海外にある不動産の相続はどのようにすればよいのでしょうか。なお、遺言はありませんでした。
  • A.
    原則としては、被相続人の国籍による法律で相続が行われます。
    日本国籍を保有しているのであれば、日本の民法が適用されます。
    しかし、二重国籍の場合など、簡単にその判断をできないケースも多々あります。
    この場合には、長く居住しているどちらかの場所(常居住地)での本国法が適用され、相続の手続きが進められていきます。ただし、常居住地にも法律上の明確な定義はなく、『相当時間滞在していた地域』という定めしかないため、どこの国の法律が適用されるのかは領事館等でしっかりと確認をし、明確にした上で手続きを行っていく必要があるでしょう。

    また、不動産については日本で所有する不動産の税評価をする際は、路線価(1㎡あたりの評価額)という国税庁の指標を用います。しかし、この路線価は日本特有のものであり、海外には存在しません。さらに、固定資産税評価額がない国もあり、日本の方式で海外にある不動産の相続税評価額を求めることは難しいというのが現実です。
    そこで、海外にある不動産の税評価については、国税庁が定めた次の基準があります。

    5-2 国外にある財産の価額についても、この通達に定める評価方法により評価することに留意する。
    なお、この通達の定めによって評価することができない財産については、この通達に定める評価方法に準じて、又は売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価するものとする。


    これは、簡単に解説すると、
    『海外にある財産も日本と同じ方法で評価しましょう。ただし、日本と同じ方法での評価が難しい場合には、市場での売買価格や、専門家から評価を出してもらってください」
    ということが記載されています。
    つまり、日本と同じ方法での税評価が難しい場合には、
     • 現地の不動産会社に査定を依頼する(→費用の負担なく、評価を求めることができる)
     • 専門家(不動産鑑定士など)に税評価を依頼する(→意見作成のための費用に、通常数十万円かかる)

    などし、海外不動産の相続税評価額を算出するようにしましょう。