第84回相続はいつ、何から始めたらいいの?放送日:2019.12.12

  • 【年内中に相続の流れをおさらい】
  • Q.
    父が亡くなりました。葬儀も無事に終えたのでそろそろ相続について考えなくてはなりません。母は既に他界しているので、遺産は私と兄が引き継ぐことになると思うのですが、はじめての事で何から手をつけて良いか分からず困っています。相続はいつはじまるのでしょうか?
  • A.
    まず、「相続はいつはじまるのか」ということですが、相続は人の死亡により自動的に発生します。
    相続のご相談を受けていると「父は死んだが、相続はしていないです」と勘違いされている方がいらっしゃいますが、お父様が亡くなられた時点で相続が発生していることになります。相続とは、亡くなった人の財産や権利、義務などを一定の家族や親族が継承する(引き継ぐ)ことを言います。
    相続は法定相続分による場合と遺言に基づく指定相続分による場合があり、遺言がある場合は遺言が優先されます。
    相続は、家や土地などの不動産、又は権利や金銭などの財産を受け継ぐだけではなく、借金などの負債も引き継ぐことになります。つまり、相続によって、価値ある財産(プラスの財産)を手に入れることもあれば、借金などの負債(マイナスの財産)を引き継ぐ場合もあるということです。
    対象となる財産は、土地や家などの不動産、預貯金、有価証券、絵画などの美術品、貴金属や自動車等のプラスの財産と住宅ローンや借金などのマイナスの財産と様々です。
  • Q.
    では、何から始めればいいか。
  • A.
    ①遺言の有無を確認します。遺言がある場合は原則として遺言の通りに遺産分割することになります。遺産分割の話し合い(遺産分割協議)が終わってから遺言が出てきた場合、話し合いをはじめからやり直すことになる可能性もあるので、遺産分割協議をはじめる前にきちんと確認しましょう。
    ②遺言がない場合は、法定相続人が遺産を相続することになりますので、相続人が誰であるのか確認しましょう。
    亡くなられた方の戸籍を調べてみると、養子縁組をしていたり、認知した子どもがいたり、家族も知らなかった事実が出てくることがあります。
    そういった相続人が参加しないで遺産分割協議をした場合、この遺産分割協議は無効になり、はじめからやり直さなければなりません。まずは、相続人の範囲を確定させることはとても重要です。相続人調査は、被相続人の戸籍・除籍・改製原戸籍謄本などを取得します。そして故人の子供などの戸籍を集めていき、法律上の相続人(法定相続人)を特定していきます。最終的に相続人が確定したら相続関係説明図を作成するといいでしょう。戸籍・除籍・改正原戸籍謄本は、各市区町村の戸籍の担当の窓口に直接請求します。遠方の場合は郵送で請求します。