第76回相続放棄と生命保険の受け取りについて放送日:2019.10.17

  • 【質問】
    夫が多額の借金を抱えて無くなりました。相続放棄をしたいと思いますが、生命保険金の受取人が、妻である私になっています。相続放棄をすると、生命保険金は受け取れなくなるのでしょうか。また、生命保険金を受け取ってしまうと、相続放棄ができなくなるのでしょうか。教えて下さい。
  • 【回答】
    受取人が被相続人以外であるならば、生命保険金を受け取っても、相続放棄には影響がありません。
    相続放棄後に生命保険金を受け取ることもできます。
    何故そうなるかと言うと、受取人が、亡くなった方以外の者に指定されている場合、生命保険契約は、第三者のためにする(民法537条)保険契約ということになり、指定された者が固有の権利として生命保険金を受け取ることができます。したがって、相続放棄があっても生命保険金は受け取れます。
    また、生命保険金は相続財産に含まれませんから、生命保険金を受領しても、相続財産を処分したことにはならず、相続放棄が可能です。
    但し、生命保険金の受取人が亡くなった方となっている場合、生命保険金は相続財産となり、これを受け取ると相続放棄ができなくなりますので、ご注意下さい(相続放棄をすると受け取れません。)。
  • 【質問】
    相続放棄を撤回することはできますか?
  • 【回答】
    相続放棄の手続きが完了した後で、相続放棄を撤回することはできません。しかし、騙されて相続放棄をした場合や脅されて相続放棄をした場合等の一定の事由がある場合、相続放棄を取り消すことができます。