第75回相続の放棄について、相続放棄と限定承認放送日:2019.10.10

  • 【質問】
    借金の部分だけ相続放棄できますか?
  • 【回答】
    相続放棄すると、その人は初めから相続人ではなかったことになりますので、資産も負債も一切相続することができません。
    そのため、「借金は相続放棄するけど、不動産は欲しい」というような相続放棄はできません。資産もあるが借金もあり、どちらが多いか不明な場合は、相続財産の限度でのみ債務を弁済する「限定承認」という制度が有用です。しかし「相続放棄」は各相続人が個別に申し立てできるのに対し、「限定承認」は相続人全員でしなければなりません。
  • 【質問】
    父の死後、実家だった家を相続し、売却しましたが、先日父に借金があることが判明しました。今から相続放棄をするのは可能でしょうか。
  • 【回答】
    既に相続を承認したことになります。相続が始まり、熟慮期間内に売却など財産の処分を行うと、既に相続を承認したことになり、相続放棄はできません。民法では、相続人のいくつかの行動を単純承認をしたものとみなされます(法定単純承認)。