第408回負債があるときの相続放送日:2026.2.4
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- 【事例】
- 先日Aさんは夫を亡くしました。ところが、亡くなった夫には1000万円の借金があることが判明しました。夫の財産は自宅(2000万円)、預貯金(500万円)。相続人は妻のAさんと2人の子供です。3人でどのように相続するのが最適でしょうか?
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- 【解説】
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この場合、単純にプラスの財産からマイナスの財産を差し引くと1,500万円の財産が残る計算になりますが、借金が膨らんで資産を上回る可能性も考慮し、以下の3つの選択肢から検討します。
①単純承認(すべて引き継ぐ)
プラスの財産もマイナスの財産もすべて引き継ぐ方法です。
メリット:手続きが不要で、自宅不動産をそのまま守ることができる。
デメリット:借金もすべて返済義務を負う。後から多額の借金が見つかっても拒否できない。
判断基準:「明らかに資産の方が借金より多い」と確信できる場合。
②相続放棄(すべて捨てる)
最初から相続人ではなかったものとみなされ、一切の財産を引き継がない方法です。
メリット:借金を返済する義務が完全に消滅する。
デメリット:自宅不動産などのプラスの財産もすべて手放さなければならない。
判断基準:「借金が多すぎて返済しきれない」場合。
③限定承認(プラスの範囲内でマイナスを清算する)
相続したプラスの財産の範囲内でのみ、マイナスの財産(借金)を弁済する方法です。
メリット:借金の全容が不明でも、手元の財産以上の支払いを求められない。
デメリット:手続きが非常に複雑。相続人全員(今回は3人)が共同で申し立てる必要がある。
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- 【解決へのステップ】
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まず財産や債務をすべて調査し、何がいくらあるかを確定させます。
次に限定承認の検討です。「自宅に住み続けたいが、借金がどの程度膨らむか不安」という場合、限定承認が有力な選択肢となります。 ただし、子ども2人の協力が不可欠です。もし子どもが「自分は関わりたくない」と相続放棄をしてしまうと、残った相談者が一人で全ての借金を背負う(単純承認)か、自分も放棄するかの二択を迫られることになります。
そしてこの判断には3カ月という期限があります。相続開始を知った日から3か月(熟慮期間)を過ぎると、自動的に「単純承認」とみなされます。調査に時間がかかる場合は、家庭裁判所に「熟慮期間の伸長」を申し立てることで、期限を延ばすことが可能です。
<参考>法定相続人が兄と弟の2人だけだった場合に弟が先に相続放棄したあと、兄もまた相続放棄が可能か?
また、双方が放棄すれば負債義務は免れることができるか
結論として、お父さまの法定相続人が「兄と弟の2人だけ」で、弟さんが既に相続放棄済み・お兄さまも相続放棄が受理される場合、お兄さまも弟さんも借金を相続しません(個人として支払義務は原則なし)。ただし、借金そのものが“消える”わけではなく、遺産の範囲で清算される形になります。相続人がいなくなる場合は、必要に応じて家庭裁判所で相続財産清算人が選任され、そこから債権者への支払い等の清算が行われます。
なぜ「負債が免除(ゼロになる)」ではないのか
相続放棄が受理されると、その人は最初から相続人でなかった扱いになり、プラス財産もマイナス財産(借金)も引き継ぎません。しかし、借金自体は残るので、相続人がいない(全員放棄など)場合は、申立てにより家庭裁判所が相続財産清算人を選任し、遺産を換価して債権者へ支払うなどの清算を行います(残れば国庫へ)。
相続人が全員相続放棄して相続人がいなくなった場合、家庭裁判所で相続財産清算人が選任され、清算人が遺産を換価して債務を弁済する、という「遺産の清算手続」に移ります。
債権者が必ず満額回収できるとは限らない。このとき、債権者が複数いる場合、原則として債権額に応じて分配(按分)。税金等の公租公課や担保権者など、優先して弁済される債権がある場合があると整理されます。
ご家族側(兄弟側)の注意点
お兄さま・弟さんが相続放棄を受理されているなら、原則として兄弟個人に借金返済義務はありません。
ただし、保証人等になっていないかは必ず確認してください(ここがあると結論が変わります)。
ラジオ番組
教えて絹川先生!
文香の知らない相続の世界
パーソナリティと相続について楽しく学ぶラジオ番組です。
身近な事例を元に、相続にまつわるトラブルや
疑問を分かりやすく解説しています。
| 放送局 |
北陸放送 |
| タイトル |
「教えて絹川先生!文香の知らない相続の世界」 |
| 放送時間 |
毎週木曜日15:20~ |
| 出演 |
絹川忠宏、大木文香 |