第377回代襲相続放送日:2025.7.2
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- 【事例】
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先日、父が亡くなりました。
すでに母は亡くなっていて、兄も数年前に亡くなっていますから相続人は自分だけだと思います。
ただ、兄には息子がいるのですが相続人にはならないですよね?
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【解説】死亡した相続人の相続権は子(孫)が引き継ぐため「兄の息子」が相続人になります。
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本来は相続人となるはずだった「被相続人の子または兄弟」が、「相続が開始される以前に亡くなっていた」という場合、その人の相続権は、子や孫が引き継ぐことができます。
これを「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」と言います。
また、代襲相続の制度によって、相続権を引き継がれる人(代襲される人)を「被代襲者」、相続権を引き継ぐ人(代襲する人)を「代襲者」と言います。
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- 【代襲相続が発生する原因条件】
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本来相続人となる被相続人の子又は兄弟姉妹が相続発生時に「死亡」していた場合
本来相続人となる被相続人の子又は兄弟姉妹に「欠格」事由がある場合
本来相続人となるべき子が「廃除」された場合
相続廃除とは、被相続人が、虐待や侮辱、著しい非行など、相続人に相続させたくない事由がある場合に、家庭裁判所に申し立てて、その相続人の相続権を奪う制度です。
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- <相続廃除の要件>
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虐待:被相続人に対する暴力や暴言など、肉体的・精神的な苦痛を与える行為。
侮辱:被相続人の名誉や尊厳を傷つけるような言動。
著しい非行:上記以外にも、被相続人の財産を勝手に処分するなど、社会通念上、相続人として不適格と認められる行為。
相続欠格とは、民法で定められた相続人の資格を失う制度で、特定の重大な非行を犯した相続人が相続権を失うことを指します。相続欠格事由に該当した場合、相続人は遺言や遺留分を含め、一切の遺産を相続できなくなります。
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- <相続欠格事由>
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相続欠格事由は以下の5つです。
1. 故意に被相続人や他の相続人を死亡させ、または死亡させようとして刑に処せられた者:
被相続人や他の相続人を殺害した場合や、殺害しようとした罪で刑罰を受けた場合です。
2. 被相続人の殺害されたことを知りながら、これを告発しなかった者:
被相続人が殺害されたことを知りながら、告訴や告発をしなかった場合です。ただし、犯人が自分の配偶者や直系血族である場合や、犯人が幼少である場合などは除外されることがあります。
3. 詐欺や強迫によって、被相続人が相続に関する遺言を作成させたり、撤回・取消・変更することを妨げた者:
被相続人に遺言を書かせたり、遺言を撤回・取消・変更させたりすることを、詐欺や強迫によって妨害した場合です。
4. 詐欺や強迫によって、被相続人に相続に関する遺言を作成させたり、撤回・取消・変更させた者:
被相続人に遺言を書かせたり、遺言を撤回・取消・変更させたりすることを、詐欺や強迫によって行った場合です。
5. 相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者:
遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿した場合です。
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- 相続欠格と相続廃除の違い
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相続欠格と相続廃除はどちらも相続人の資格を失う制度ですが、異なる点があります。
相続欠格: 法的に定められた欠格事由に該当した場合、自動的に相続権を失う制度です。被相続人の意思とは関係ありません。
相続廃除: 被相続人が家庭裁判所に申し立てることで、特定の相続人の相続権を奪う制度です。被相続人の意思に基づいて行われます。
代襲相続が発生すると、相続人の把握が難しくなったり、連絡手段がなかったり、ともめ事やトラブルになりがちです。
速やかに専門家へ相談することをおすすめします。
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放送局 |
北陸放送 |
タイトル |
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放送時間 |
毎週木曜日15:20~ |
出演 |
絹川忠宏、大木文香 |