第371回前妻との子、今の妻との子、など家族関係が複雑な場合はトラブルが起こりがち。遺言書は必須です。放送日:2025.5.21
-
- 【事例】
-
最近Aさんは「相続で揉めた」と友人から話を聞いて、遺言書を書きました。Aさんの相続人は、妻と子、そして前妻との子、の3人です。Aさんと前妻は険悪な関係で前妻の子とも会わせてもらえない状況。Aさんは「今の妻」と「今の妻との子」に財産を残す、と遺言書を書きました。遺言書は書いたものの、自分の亡き後に妻と前妻の間で何かもめ事が起きないかAさんは心配しています。
-
- 【解説】
-
整理すると、
Aさんの法定相続人は、妻、今の妻との子、前妻との子
しかし、Aさんは妻、今の妻との子に相続し、前妻との子には相続したくないと思っている、ということですね。
Aさんの考えるとおり、離婚すると前妻は相続権を失うが、子どもには相続権があります。相続人と相続分の割合は民法で定められていて、これを「法定相続人」「法定相続分」といいます。
まず、今の妻と子どもに財産を残すために遺言書を書くことは有効な手段と言えます。遺言書があると、遺言に書かれてある部分については相続手続きがその通りに実行されます。ご相談者様が今の配偶者と子どもに財産を残す内容の遺言書を作成すれば、今の配偶者と子どもを守ることができます。
-
- 【遺留分は?】
-
絹川先生:大木さん、今回のケースでは遺留分に気を付けた方が良いと思いますか?
大木さん:前妻との子、には遺留分があるのでもし遺留分を請求された場合のことも考えた方が良いと思います。
絹川先生:そうですね。遺言で相続人や相続割合を決めたとしても、配偶者と子や孫、両親や祖父母には最低限の遺産をもらう遺留分という権利があります。「前妻との子」には遺留分がありますから、遺留分侵害額請求権を主張してくる可能性が充分にあります。対策としては「遺言書であらかじめ前妻の子どもにも遺留分額の財産を渡す内容を記載しておく」「今の配偶者と子どもが前妻の子どもから遺留分を請求された時に渡せるように遺留分と同額の現金を用意しておく」といったことが考えられます。
-
- 【遺留分とは】
-
遺留分は一定範囲の相続人に認められた最低限度の遺産取得割合です。本来の法定相続分の半分以下しか財産を取得できない場合、遺留分を持つ相続人は遺留分侵害額請求権を主張することができます。遺言よりも強い効力を持っているので、主張すれば必ずその分の財産を取得することができます。
ラジオ番組
教えて絹川先生!
文香の知らない相続の世界
パーソナリティと相続について楽しく学ぶラジオ番組です。
身近な事例を元に、相続にまつわるトラブルや
疑問を分かりやすく解説しています。
放送局 |
北陸放送 |
タイトル |
「教えて絹川先生!文香の知らない相続の世界」 |
放送時間 |
毎週木曜日15:20~ |
出演 |
絹川忠宏、大木文香 |