第359回「相続開始から10カ月以内に現金一括納付」が原則ですから相続税を支払う可能性がある人は事前に準備しておかないと残された家族の大きな負担になるでしょう。放送日:2025.2.27

  • 大木さん:この番組ではちょっと難しい相続について、絹川先生に教えていただきます。
    先週は、相続トラブルを防ぐためにまずは、相続財産を把握しましょうというお話をお聞きしました。

    絹川先生:財産の「棚卸」をして相続財産を把握することが重要、とお伝えしましたね。
    今週は、少し難しいと感じる部分かもしれませんが「相続税」についてお話します。

    大木さん:相続税がかかる人は確か全体の数パーセント、でしたよね?

    絹川先生:国税庁が公表している「令和2年分 相続税の申告事績の概要」によると、2020年度における課税割合は8.8%です。これは、被相続人(死亡者)の約11.3人のうち1人に相続税がかかっている計算になります。ちなみに、相続税の基礎控除額が引き下げられる前年2014年の課税割合は4.4%でした。数%ではありますが、対象となる場合、相続税を試算して対策をとっておかないと残された家族にとって大きな負担となります。

    大木さん:相続税は、期限内に現金一括払いが原則なんですよね。

    絹川先生: そうですね、相続税がかかる場合には、相続開始から10ヶ月以内に現金で一括納付をすることが原則です。
    ですから、相続税を試算のうえで相続税支払いのための対策を取っておかないと、遺された家族が相続税を支払えない!などの事態になりかねません。ですから、事前に「財産の棚卸」をしたあと「相続税の試算」をする必要があります。
    また、相続税対策の代表例としては生前贈与が挙げられます。生前贈与とは、生きている間に財産を子供や孫などの親族に分け与えることを指します。生前のうちに財産を贈与して相続財産を減らしておくことで、将来相続時に発生する相続税を抑えることができます。
    生前贈与は相続税対策として用いられる手段の一つですが、贈与にあたっては贈与税がかかってしまう場合もあります。したがって、贈与税の課税対象にならない範囲内で行うよう注意する必要があるでしょう。
    そのほかにも生前にできる対策はありますから、ぜひ専門家にご相談ください。
  • 【例えば】
    対策1:生前贈与を活用して、財産を移転し相続税を軽減する
    対策2:財産の組み換えにより相続税評価額を圧縮する
    対策3:財産の分割方法の工夫により税額を軽減する など…