第298回【遺言ってどんなもの】複数の遺言書が出てきたとき、「法的に有効なもの」で、「最新の日付のもの」が有効です。放送日:2024.1.4

  • 【事例】
    先日父が亡くなりました。
    父からは遺言書は金庫に入れているからと言われており、確かに遺言書は金庫の中に保管されていたのですが・・・なぜか複数枚の遺言書が出てきました。どうしたらよいのでしょうか。
  • 【解説】
    絹川先生:こんなとき、大木さんならどうしますか?
    大木さん:困りますね…!書いた日が分かれば良いですが…
    絹川先生:そうですね、遺言書には必ず「書いた日付」を書くルールがありますから、日付を確認しましょう。日付が最新のものが有効、となります。

    複数の遺言書が見つかることは、決して珍しいことではありません。「遺言書は1通しか作成してはいけない」という決まりはありませんから、何度も書き直しをしたり、下書きしたものをそのまま手元に残しておいたりしても構いません。ただし、何通も遺言書が出てきた場合、残された親族は「どれが有効な遺言書なのか?」と困惑してしまいます。もし、この事例のようなケースに遭遇した場合は、複数ある遺言書の日付に注目してください。法律では、最後に作成された遺言書、つまり、最新の日付の遺言書が有効であると定められています。異なる時期に書かれた遺言書Aと遺言書Bの内容が、大きく異なるようなこともあるでしょう。その場合も、やはり最新の日付の遺言書が有効となります。法律では、新しい遺言書によって、古い遺言書の内容は取り消されたものと見なされるからです。

    大木さん:では先生、どの遺言書にも日付がない!こんな場合はどうなりますか?
    絹川先生:すべての遺言が無効となります。「日付」と「押印」が遺言書には必ず必要だからです。

    絹川先生:たとえば、これが「自筆証書遺言」であっても「公正証書遺言」であっても、「法的に有効」なもので、最新のものが有効となります。