第273回【遺言について学ぼう!】せっかく遺言書を用意したのに、それがもとで相続トラブルを招くことも。「有効」な遺言書を残しましょう。放送日:2023.7.13

  • 大木さん:今日はどんなテーマでしょうか。
    絹川先生:今回は「トラブルになりやすい遺言書」についてです。
    大木さん:これまで相続に関するトラブルを防ぐために有効なのが遺言書、と学んできましたが、遺言書がもとでトラブルになることがあるんですか?
    絹川先生:そうなんです、トラブルにならないよう気を付けて遺言書を書く必要があります。
  • ◆トラブルになりやすい遺言書の事例
    • 1.認知症になってから遺言書が作成された
      遺言作成に必要な意思能力について、一般的には、「遺言内容を理解し、遺言の結果を弁識し得るに足る意思能力」と言われています。認知症がかなり進んでいる場合などには後に遺言能力が争われ、場合によっては裁判所から遺言が無効と判断されてしまう可能性があります。
    • 2.遺言内容があいまい
      例えば、「千葉にある倉庫は長女に相続させる。」などといったあいまいな遺言がされた場合、対象物件の特定が不十分として遺言の当該部分に効力が認められなかったり、登記申請が拒否されたりする可能性があります。「何となく伝わるだろう」「妻や息子達なら皆まで言わなくても分かってくれるはずだ」という気持ちであいまいな遺言を作ると、後で大変な問題になってしまいます。
    • 3.遺留分侵害額請求が起こる
      「財産は全て長男に相続させる。」という遺言は昔から割と広く用いられてきましたが、他の相続人は何ももらえないことになるため、遺留分侵害額請求による紛争勃発のリスクがあります。
    • ◆まとめ
      絹川先生:遺言無効確認訴訟を行う場合、法律により調停を先に行う必要があります。また、遺言無効が認められてもその後に遺産分割調停や審判を行う必要があり、時間が非常にかかるので早期解決は難しくなります。有効な遺言書を残すために、コストをかけてでも公正証書遺言を書くことをおすすめします。