第266回【事例で学ぶ不動産相続】不動産相続トラブルを回避するために 事前の対策が重要です、親が生きているうちに話し合ったり、遺言書を書いたりとはやめの対策をおすすめします。放送日:2023.5.25

  • 今月は不動産相続にまつわる事例をみてきました。
    相続を円満なものにするためには「事前の対策」が重要です。
    では、今からどんな準備をしておけばよいのでしょうか。
  • 1.親が生きているうちに話し合いをする
    相続トラブルを避けるためには、可能であれば親の意思と子の要求を出し合って方向性を決めておくのが理想的です。トラブルの最も多い原因はコミュニケーション不足により相続人同士が疑心暗鬼の状態に陥ることです。遺産分割に対する考え方にも齟齬が発生し、ますます対立を深めてしまうことにもなりかねません。
  • 2.遺言書を残す
    親子で合意していても、遺言書は必ず残しておきましょう。口約束では親が亡くなった後に、親の意向を証明する手段がなくなってしまいます。遺言書は法律的な強制力を持つという意味でも最も有効なトラブル回避手段です。

    とはいえ、遺言書が100%有効にならないケースもあります。遺言を残す側は自分の財産を誰に、どのように相続させるかを自由に決められますが、法定相続人には、最低限保障される遺留分があります。例えば遺言書で「長男に遺産のすべてを相続させる」とされていた場合でも、一定の範囲の相続人は主張すれば必ず一定の財産が取得できます。仮に長男が要求に応じない場合は「遺留分侵害額請求」訴訟を提起し、裁判で争うことになるでしょう。
  • 3.家族信託
    例えば親が認知症になった場合、判断能力もなくなり、自分で自分の財産を管理することができなくなってしまいます。そんな万が一の場合に備えるために「家族信託」という制度があります。家族信託は親が自分で財産管理ができなくなることに備え、家族に自分の財産の管理や処分の権限を与えておく方法です。親の財産の管理を信頼できる家族に託し、委託者(親)と受託者(子)が信託関係を結ぶことで利用できる制度です。

    委託者(親)の財産は信託財産として名義が受託者(子)に変わりますが、親は引き続き受益者として自分の財産を使うことが可能です。その後、親が認知症を発症したときは子(受託者)が柔軟に信託財産の処分などの判断をして実行することができます。