第254回【生前対策】配偶者居住権をうまく活用するなど、のこされた家族間で
揉め事が起きないように事前の対策をしておきましょう。
放送日:2023.3.2

  • 【リスナーからの相談】60代
    最近、定年退職して時間ができたので相続について考えはじめました。
    相続財産として思い浮かぶのは現在住んでいる家、預貯金、生命保険ぐらいです。
    相続人になる家族は、妻、長男、長女、次男の4名。
    妻にはこの自宅に住み続けてほしいので自宅を相続させて、残りの財産をこどもたちで分けて欲しいなと思っていますが、家族間で揉め事が起きたり、困りごとが出てきたりしないか心配です。
  • 【絹川先生の回答】
    今回の相談である「妻には自宅を相続してもらい、現金を3人の子供たちに平等に渡す」という計画には問題があります。
    →妻に現金を遺せなくなりますので、妻の老後資金が不足する

    加えて妻が自宅を相続しなくても、家に住む権利のみ相続することもできましたよね?
  • 配偶者居住権
    配偶者居住権とは,夫婦の一方が亡くなった場合に,残された配偶者が, 亡くなった人が所有していた建物に,亡くなるまで又は一定の期間,無償で 居住することができる権利です。 配偶者居住権は,夫婦の一方が亡くなった場合に,残された配偶者の居住権を保護するため,令和2年 4月1日以降に発生した相続から新たに認められた権利です。
    妻には配偶者居住権(2020年に誕生した、遺された配偶者が自宅に住むことができる権利)がありますので、仮に家族間でもめても、自宅を出て行かなければならない事態を招きません。
  • ◆ポイント:家族会議を開催し預貯金の分配方法について考える
    「家族がもめないために」預貯金をどのように分割するかを検討すると良いでしょう。
    相続税がかかるかどうか?→払えるかどうか
    生命保険の種類と受取人は?→控除が使えるかどうか

    預貯金を生前贈与するか、相続が開始まで待つか?
    自宅を取得した人と、預貯金を取得する人のバランスは?
    相談者が認知症になったら?
    等について、各相続人のライフプランを考慮して家族で話し合う必要があります。
    また、遺言書の作成も有効でしょう。