第252回【事例をもとに考える相続】不動産資産をうまく活用して、
事前の相続対策を行うことが重要です。
放送日:2023.2.16

  • 【リスナーからの相談】
    質問者:Cさん(女性・56歳)
    私は独身で、現在80歳になる母と二人で暮らしています。
    母は認知症気味で私が介護をしている状態です。
    遠方には妹もおりますが家庭を持っておりなかなか会うこともありません。

    今後の介護資金が不安なので相続について考えないといけないと思うのですが…。
    相続財産は今暮らしている持ち家と敷地のみですが、敷地はかなり広く持て余している状態です。
    介護資金にどうあてるべきでしょうか。
  • 【回答】
    お母様の認知症が進めばデイサービスの利用や病院での治療費等介護資金は相当なものになるでしょう。さらに、お母様がケガをしないように、階段に手すりをつける・部屋の段差をなくすなど、家の改修工事が必要になる場合もあります。できるだけ早く介護資金の問題を解決する必要があるでしょう。

    使っていない土地がある場合、土地を貸す、売却するなど複数の選択肢があります。
    土地を売却することのメリットはまず、資産を現金化できることです。
    現金化することで、その資金で住宅ローンを支払ったり、または他の立地のよい土地を買ったりすることもできます。

    今回のケースでは、なるべく早くお母様の介護費用に使う資金が必要なので、土地を売却してまとまった資金を得る方法が良いでしょう。

    また現金化することで相続人が複数いた場合に遺産を分けやすくなります。妹さんがいるとのことですから、お母様が亡くなられた場合は残った現金を平等に分けることができます。

    もちろん、土地を売却するのはデメリットもあります。
    土地を貸した場合と違い、売却してしまえばそれ以降はその土地を利用して収益を得ることはできなくなりますし、宅地として使用していた不動産資産を現金化することで、相続税上の評価は大きく上がります。それによって相続税がかかるようになってしまうということもありますし、売却して得た利益にも税金がかかります。
    使っていない土地をどう利用するかは、ご自分の状況、その土地がどのようなものかで選択肢は変わります。専門家に相談しながらそれぞれのメリット・デメリットをきちんと把握したうえで判断しましょう。