第213回事例から見る不動産相続【不動産を現金化するタイミング】放送日:2022.05.19

  • 【事例】
    実家を相続したCさん。
    Cさんは田舎を離れて、遠方に住んでおり実家に戻る予定はありません。
    空き家として残しておいてもしょうがない、と現金化して相続しようと考えています。
    しかし、知人から「相続してからタイミングをみて売却した方が良いよ」との意見をもらいました。
  • 【整理】
    空き家を相続したが、現金化してから相続するか、不動産として相続してから現金化するか悩んでいる。
  • 【どちらが有利か】
    一般的には、不動産を現金化してその現金を相続する(相続前の売却)よりも、不動産のまま相続し、その後不動産の状態に応じてタイミングを間違えないように売却(相続後の売却)する方が有利になります。
  • 【相続前に売却する場合】
    親の生前に物件を売却した場合は通常の売却になりますので不動産そのものに対する相続税はかかりません。 通常通り、譲渡したことにより「儲け」があれば譲渡所得税がかかってくるだけということになります。
    ただ、不動産を現金化することになるため、その現金に対して相続税が課せられることになり、不動産そのものを相続するよりも割高になってしまうことに注意しなくてはなりません。
    不動産については、評価の方法が「路線価(土地)」もしくは「固定資産税評価額(建物)」となりますが、これは現金での評価と比べて低い価額になっているからです。(評価を下げるためにわざわざ現金を不動産に換える節税方法があることからもわかります)。
  • 【相続後に売却する場合】
    • 相続後に売却する場合には、相続税の申告期限内(被相続人の死亡から10カ月)に売却する場合、それ以降であって相続開始から3年10カ月以内に売却する場合にそれぞれ節税できることがあります。
      前者(10カ月以内の売却)であれば、「不動産の売却価額が相続税評価額よりも低い」のであれば、申告期限までに売却することによってより低い価額(売却価額)で評価することができるので、差額の分だけ節税になります。 後者(3年10カ月以内)の売却の場合、相続によって取得した土地を売却すると、相続時にその不動産について支払った相続税を、土地の売却時にかかる所得税、住民税から一部控除することができます。
      具体的な計算式はこのようになります。
    • 課税譲渡所得金額(譲渡益)= 譲渡価額 ―(取得費+譲渡費用)― 特別控除