第208回今の妻と子を守るために公正証書遺言を作成したい放送日:2022.04.14

  • 【Bさん(50歳男性)の事例】
    妻と子ども、3人暮らしのBさんには、前妻との間にこどもがいます。
    前妻とは10年以上前に離婚しており、険悪な状態。
    いずれBさんが亡くなったとき、前妻が相続に口出ししてくることを心配していました。
    今の妻と子どもを守りたいBさんは公正証書遺言を作ることにしました。
  • ◆ポイント1:離婚すると前妻は相続権を失うが、子どもには相続権がある
    前妻は離婚した時点で相続権を失います。ですが離婚した前妻との子どもにはもちろん相続権があり、相続人となります。相続人と相続分の割合は民法で定められていて、これを「法定相続人」「法定相続分」といいます。
  • ◆ポイント2:遺言書によって、今の妻と子どもに財産を残すことができる
    遺言書があると、遺言に書かれてある部分については相続手続きがその通りに実行されます。ご相談者様が今の配偶者と子どもに財産を残す内容の遺言書を作成すれば、今の配偶者と子どもを守ることが可能になります。
  • ◆ポイント3:遺言書を作成するときは、遺留分に気をつける
    遺言で相続人や相続割合を決めたとしても、配偶者と子や孫、両親や祖父母には遺留分という権利があります。

    遺留分は一定範囲の相続人に認められた最低限度の遺産取得割合です。本来の法定相続分の半分以下しか財産を取得できない場合、遺留分を持つ相続人は遺留分侵害額請求権を主張することができます。遺言よりも強い効力を持っているので、主張すれば必ずその分の財産を取得することができます。

    前妻との子どもには遺留分を主張する権利があるため、遺留分侵害額請求権を主張してくる可能性が充分にあります。対策としては「遺言書であらかじめ前妻の子どもにも遺留分額の財産を渡す内容を記載しておく」「今の配偶者と子どもが前妻の子どもから遺留分を請求された時に渡せるように遺留分と同額の現金を用意しておく」といったことが考えられます。

    相続手続きにおいて前妻との子どもがいる場合に、何も対策をとらないでいると、相続人間で揉める可能性が高いです。遺言書を作成することでトラブルや大きな争いごとを避けられるケースはたくさんあります。残される大切な方達を守りたいとお考えの方はぜひ遺言書の作成をご検討ください。