第200回未成年の相続と遺言書の効力放送日:2022.02.24

  • 【事例】
    Aさん夫妻に、養子縁組で息子Bさんができました。
    息子のBさんには縁組前に生まれていた小学生のCくんと、縁組後に新しく生まれた1歳のDちゃんがいます。ところが、息子Bさんが不慮の事故にあい子ども2人を残して他界。
    Aさん夫妻にとってはどちらも可愛い孫なので、夫妻の遺産は平等に残したいのですが可能でしょうか。
  • 問題:養子縁組の前後に生まれた孫に等しく相続させることは可能?
    ─ 正式な遺言を残しておけば可能
  • ◆養子縁組の前と後に生まれた孫の相続について
    連れ子は、そのままでは相続権がありません。Cくんは言わば、連れ孫。養子縁組以前に生まれた孫は、連れ子同様、法的には他人ですから、相続の権利はありません。しかしご安心ください。Aさんが正式な遺言書を作成しておけば、2人のお孫さんに平等に遺産を分けることは可能です。
  • ◆代襲相続について
    代襲者になるのは次の2つに当てはまる人です。
    1】相続人の子→いない場合はその子(相続人の孫)→いない
    場合はその子(ひ孫)・・・と続きます。
    2】相続人の兄弟姉妹の子(相続人の甥や姪)→いない場合はここで終わりです。
  • Aさんの場合、相続人は、Aさんの妻とBさんですが、Bさんは既に亡くなっているので、Bさんの子が代襲者になります。法定相続分は二分の一ずつです。

    ところが、養子縁組前に生まれていたCくんは、Aさんの血族とみなされません。従って、法律上はAさんの財産を相続する権利はDちゃんにしかありません。しかし、法的に有効なAさんの遺言書があればCくんも相続できるのです。
  • ◆遺言書で指定できること
    遺言書がない場合は、民法に規定されている一定の基準に従って相続が行われますが、遺言書があれば、被相続人の財産を誰がどれだけ相続するかは、遺言書に従わなければなりません。ですから、Aさんが正式な遺言書に、「CとDに平等に遺産を相続させる」旨の事を明記しておけば、相続権のないCくんにもすんなり相続させてあげることができるのです。