第182回配偶者居住権放送日:2021.10.21

  • 【質問】
    先日、夫が亡くなりました。財産内訳は、自宅不動産(3,000万円)と預貯金(2,000万円)です。息子はすでに家を出ているので、これから自宅には私一人で住むことになります。引き続き自宅には住みたいので、自宅不動産を相続したいと思いますが、そうなると今後の生活資金に心配が残ります。自宅不動産を売却するしかないのでしょうか。
  • 【状況整理】
    登場人物:夫、妻(質問者)、息子
    財産内訳:自宅(3000万円)、預貯金(2000万円)
  • 問題:
    • Q1.法定相続分通りに分けるとなると、妻と子供の相続分はどうなるでしょうか。
      ─ それぞれ1/2となり2500万円になる。
    • Q2.質問者である「妻」が自宅に住み続けるためにはどうしたらよいでしょうか。
      ─ 配偶者居住権を取得することで居住と生活資金の両方を相続することができます。
  • 【解説】
    配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、配偶者は、 遺産分割において配偶者居住権を取得することにより、終身又は一定期間、その建物に無償で居住することができるようになります。被相続人が遺贈等によって配偶者に配偶者居住権を取得させることもできます。妻が引き続き自宅に住むためには配偶者居住権を相続すればよく、所有権は子に譲ることができます。

    配偶者居住権の評価額が1,000万円であれば、妻は配偶者居住権に加えて預貯金1,500万円(=相続分2,500万円-配偶者居住権1,000万円)を相続することができます。配偶者居住権があれば、相続で住まいと生活資金の両方を得ることができます。