第180回子どもがいない夫婦放送日:2021.10.07

  • 【質問】
    先日、夫が亡くなりました。長年夫と2人暮らしで子どもはいません。老後の生活ために自宅と預貯金を相続するつもりでいましたが、法定相続人である夫の兄弟が1/3の権利を主張してきたためにトラブルに発展してしまいました。夫自身、兄弟とは疎遠でしたし、私も何度かお会いしたきり。それでも、1/3の相続分を渡さなければならないのでしょうか。
  • 【状況整理】
    家族構成:夫、妻
    本人の資産状況:自宅(時価5,000万円)、預貯金(1,000万円)
    その他:夫婦間に子はいないため、法定相続人は妻と、夫の兄弟となる
  • 問題:
    • 質問者である「妻」は夫の兄弟に法定相続分1/3を渡さなければならない?
      NO:親がいなければ配偶者が3/4、兄弟が1/4の法定相続分があります。
    • 事前に遺言を作成して、対策しておけば「妻」がすべての財産を相続することは可能?
      YES:亡くなった人の兄弟には、遺留分がありません。遺留分というのは、相続人に認められている最低限の相続財産を取得する権利のことです。
  • 【解説】
    • 夫婦間に子がいない場合には、第二順位の親や祖父母が相続人となり、親や祖父母が他界している場合には、第三順位の兄弟姉妹が相続人となります。 妻側からすると血縁関係がなく疎遠であることが多いため、夫の財産の一部が夫側の親族にわたることに納得がいかず争いごとに発展してしまうケースです。
    • 遺言を作成することで子がいない夫婦間の相続トラブルを解決できます。特に故人の兄弟姉妹には遺留分がないため、本ケースでも全ての財産を妻に相続させるという内容の遺言があれば全ての財産を妻が相続することが可能となります。