第140回寄与分・特別受益放送日:2020.12.31

  • 相続に関する知識を問題形式で出題!
    絹川先生からの問題に入江アナウンサーが挑戦し、答え合わせ、解説を行います。

    相続の応用編② 相続事例:覚えているかな?寄与分・特別受益
  • 先日父が亡くなりました、遺言書はありません。ただ、「付きっ切りで介護をしていた私の妹に財産を多くあげたい」と生前話していました。
  • Q1. この場合、単純に私と妹で財産を2分するわけにはいかないのでしょうか。
    必ずしも法定相続分どおり遺産が分割されるとは限りません。民法で定められた法定相続分よりも、遺言書があれば遺言書の内容が優先されます。今回のように遺言書を残していない場合は、基本的には法定相続通りに遺産を分割することになりますが、特例があります。
  • Q2.介護をしていた妹さんには「◯◯分」というものが認められる可能性があります。
    「寄与分」
    被相続人財産の形成・維持に貢献した相続人がいる場合には、「寄与分」として寄与分のある相続人の相続分が増加方向に修正される場合があります。
  • Q3.私が家を購入する際、父が頭金として1,000万円を出してくれたのですがこれは相続に関係がありますか?
    • 家の頭金として1000万円を受け取っているのであれば、「特別受益」というものが認められる可能性があります。これは、遺産分割の前渡しを受けたものとして取り扱われ、特別受益を受けた相続人の相続分が減少方向に修正される場合があります。
    • 「寄与分」や「特別受益」も基本的には、遺産分割協議として相続人みんなで話し合って決めるものです。また、「寄与分」や「特別受益」というのは、相続人間の公平を図るものですので、相続人間が公平になるように 、法定相続分を修正していくことになります。
    • ≪寄与分≫
      寄与分とは,共同相続人の中に,被相続人の財産の維持または増加について特別の貢献(寄与)した人がいるときに,他の相続人との衡平を図るために,被相続人の相続財産から寄与分を控除したものを相続財産としてみなして相続分を算定し,その相続分に寄与分を加えたものを寄与者の相続分とすることによって,寄与者に相続財産から相続分以上の財産を取得させる制度です。寄与分が認められる具体的な例としては,被相続人の事業に関する労務の提供(家業の無償手伝い等),被相続人の療養看護等が挙げられます。なお,寄与分が認められるためには,上記の寄与行為が特別な寄与行為である必要があります。なぜなら,元々被相続人と相続人間には親族関係があることから,その親族関係に基づいて,一定程度の貢献は期待されているため,その通常期待される程度を超える貢献がなければ寄与分を認める必要がないからです。
    • ≪特別受益≫
      特別受益とは,被相続人から共同相続人の中の特定の人に対する,①遺贈,②婚姻や養子縁組のための生前贈与,③生計の資本としての生前贈与のことを言います。
      ②の例としては,持参金や支度金が当たりますが,結納や挙式費用は当たらないとされています。③については,生計の基礎として役立つような贈与全般が含まれ,相当額の贈与であれば,広く含まれるとされています。具体例としては,会社の立ち上げ資金や選挙費用の贈与,自宅の建築資金の贈与等が当たります。なお,学費は基本的には当たらないとされています。