第133回借地に建てられた実家放送日:2020.11.12

  • 【質問】
    先日父が亡くなりました。遺産の中には実家の不動産があり、建物は父親の所有でしたが底地は他人所有で借地権つき建物です。兄が実家に居住していたので引き続き実家を相続して居住することを希望しましたがそのときに借地権の評価が問題に。兄は、借地権など売れるものでもないので二束三文だと主張しています。しかし、いくら借地といっても不動産としての価値はあるはずですよね、どう評価したら良いのでしょうか。
  • 【回答】
    借地権評価をめぐってトラブルになってしまった場合、実際にその不動産を売却したらどのくらいの金額で売れるものかを調べると合意ができることがあります。

    底地の土地としての価値を調べて借地権割合をかけ算して計算してみたり、近くの不動産業者を訪ねて簡易査定をしてもらったりしましょう。これらの評価方法を参考にして、お互いが妥協できる評価額が見つかれば、その評価額にもとづいて遺産分割協議をすることができます。評価額を調査してもやはり当事者が納得しない場合には、やはり家庭裁判所の遺産分割調停や審判を利用することになります。

    遺産分割審判では、客観的な借地権評価方法の調査結果を見たり、当事者にどうしても争いがある場合には鑑定を実施したりして借地権の評価を確定します。
    ただし、不動産鑑定をすると数十万円などの高額な費用がかかってしまうのが普通なので、注意が必要です。結局、トラブルが続くと双方にとって不利益が及ぶ可能性があるということです。

    借地権評価についてトラブルを避ける方法としても、事前に被相続人が遺言書を作成しておく方法が効果的です。
    上記の事案でも、もともと父親が長男に実家を残す代わりに、適切な遺産を次男にも残す内容の遺言があれば、次男が文句を言うこともなく、トラブルになることがなかったはずです。
    この場合にも、遺言書が発見された後で偽造や変造などと言われないように、公正証書遺言の形で遺言書を作成しておくことをおすすめします。作成方法などがわからない場合には、専門家に相談するとよいでしょう。いしかわ相続サポートセンターでも公正証書遺言の作成を行っていますのでご相談ください。