第128回内縁の妻の相続放送日:2020.10.08

  • 【質問】
    私は20年の間、内縁の夫と一緒に暮らしています。戸籍届けを出していないだけで、その他はふつうの夫婦と全く変わらず、ご近所さんからも夫婦だと思われています。いま私たちが住んでいる家は結婚後に購入したもので、名義は夫です。ところが先日、夫が亡くなりました。すると、夫の前妻の息子と娘が私のもとを訪れて「あなた、相続権がないですよね。この家もあなたのものではないですし、出ていってください。」「父のお金も全部返してくださいね。」と言ってきました。
    確かに、家は夫の名義にはなっていますが、私と夫で一緒にお金を出して購入したものです。お金も二人の老後のために一緒に積み立てたものなのに、前妻の子どもたちに全て譲らなければならないのでしょうか。
  • 【回答】
    内縁の配偶者には相続権がないので遺言が必須
    内縁の配偶者がいる場合、いくら世間一般的には夫婦と認められていても相続権がないためにトラブルになります。共同の生活を送っていて、共同の財産を積み立てていたとしても、その財産は「法定相続人」のものになってしまいます。そこで、法定相続人が権利を主張すれば、内縁の配偶者となる質問者さんは住む場所すら失ってしまうおそれがあります。
    今回のケースのように、内縁の配偶者が不利益を受けることを避けるためには「遺言」が大切です。遺言によって、内縁の配偶者に不動産や預貯金などの財産を分与することを定めておけば、住む場所を失うことも、お金に困ることもありません。ただ、今回の場合も注意すべきことは「遺留分」です。最低限、遺留分を侵害しない程度の遺産を残しておくことが、トラブルを避けるコツです。

    今回の放送を聞いて、「あ、うちもヤバイかも」と思ったら、専門家に相談のうえ遺言書をつくりましょう。遺言書をつくることは、残された家族を守ることにつながります。