第127回前妻と認知した子どもの存在放送日:2020.10.01

  • 【質問】
    先日、父が亡くなりました。私は一人っ子で兄弟もいないので、母と半分ずつ遺産を分ければいいのだと考えていました。しかし、相続人調査をしてみると父には前妻と子どもがいることが判明。なんと父には離婚歴があって、私とは別にこどもがいたのです。全く会ったこともない人たちなので、遺産分割協議もうまくいかずに遺産分割調停をするしかありませんでした。遺産の多くは家族3人で協力してつくったものです。関わりのない前妻やその子どもに分与するのは納得がいきませんでした。何かほかにできることはなかったのでしょうか。
  • 【回答】
    遺言書をつくっておくこと。

    今回のケースのように、前妻との子どもや認知した子どもがいると相続トラブルが起こりやすいです。このような場合、相続人同士に交流がないことがほとんど。全く存在を知らずに相続開始後初めて判明することもあります。今の家族にしてみると、相続財産は、自分たちで形成したと考えているので、これまで無関係だった前妻の子どもに遺産を渡すことは納得できない。反対に、前妻の子どもにしてみると、法定相続分があるのだからその分もらうのは当たり前だと考えます。これでは、互いの意見が真っ向から対立してトラブルにつながってしまいます。

    前妻との子どもや認知した子どもがいる場合、有効なのはやはり遺言です。遺言によって、今の家族に多くの遺産を残すことを定めておけば、今の家族も納得しやすいですし、他の子どもたちも「遺言があるなら仕方ない」と考えます。

    しかし、注意しなければならないのが「遺留分」です。前妻の子どもには、最低限の遺産取得分としての遺留分が認められます。それを無視して全部の遺産を今の家族に残す遺言をすると、前妻の子どもから遺留分減殺請求」をされて、新たなトラブル要因になってしまいます。