第126回兄嫁の登場、親の面倒を見ていたのは放送日:2020.09.24

  • 兄嫁の登場
  • 【質問】
    私には、昔から仲の良い兄がいます。早くに亡くなった父の代わりに、兄が私に勉強を教えてくれたり、いつも遊びに連れていってくれたりしたのを覚えています。とも関係は良好でしたが、数ヶ月前に亡くなり、2人で協力して葬儀を終えました。その後、母の遺産については兄と相談し一旦は2分の1ずつで納得し合いました。しかし、その後ほとんど接点もなく、母の葬儀も手伝わなかった兄の嫁が出てきて「うちは生活に困っているから遺産は多く頂きます」などと主張してきました。突然しゃしゃり出てきて強引な態度の兄嫁に納得がいきません。兄は「すまない」と言って私をかばうこともしないので、強く反論もできません。私はこの主張に従わなければならないのでしょうか。
  • 【回答】
    従う必要はない

    今回の事例では、亡くなったお母さんの子が兄弟2人なので、2分の1ずつが法定相続分です。このまま解決すればよかったのですが、結婚しているとなると、遺産相続は生活に直接的に関わってくるため、お金の問題はどうしても敏感になってしまいます。しかし、本来「兄の嫁」という立場では、相続分の主張などできるわけがありません。もちろん、納得できる内容であれば、昔から仲の良かった兄のために譲るのも選択肢の一つでしょう。しかし、納得いっていないのであれば、しっかり反論、もしくは兄嫁の主張自体を排除する必要があります。親族でありながら、ほとんど接点がない相手に強引に主張され、どう反論していいか分からなくなってしまってもおかしなことではありません。こういった場合は、専門家に相談し、間に入ってもらうのが良いでしょう。遺産分割協議に本人の代わりに参加することもできますから、これ以上親族の溝を広げないためにも専門家に依頼するのが賢明です。
  • 親の面倒を見ていたのは?
  • 【質問】
    先日父が亡くなりました。遺産について、私と兄、妹で話し合いをしていたのですが、兄が「俺は長い間、親父と同居して面倒をみてきたんだ。それに、俺は長男なんだから父の遺産を全て相続するのは当然だろう」と言い出しました。確かに、生前父を支えていたのは兄です。この主張も間違ってはいないと思うのですが、兄は強引に遺産分割協議書を作成して、署名捺印を求めてきます。私や妹は財産をもらうことができないのでしょうか。
  • 【回答】
    もらうことができる

    相続には「寄与分」といって、亡くなった方の財産形成や維持に貢献した者がいた場合、その貢献度に応じて相続分が上乗せされるという制度があります。しかし、これはあくまでも法定相続分(法律によって相続人それぞれに決められた相続分)に上乗せするのが原則です。独り占めを促す制度ではありません。正しくは、亡くなった方が自ら遺産の行方について指定する「遺言書」がなかった場合、法定相続分を前提に遺産分割協議による話し合いにて解決を図ります。相続人である以上、必ず相続分は発生し、今回は3兄弟ですから3分の1ずつ相続するのが法定相続分です。しかし、今回の事例のように法定相続分への理解が不足していることから「兄の主張は正しい」と勘違いしてしまう可能性があります。遺産分割協議書に署名捺印し、あとからやり直したいと思っても、一度合意してしまった遺産分割協議は簡単には覆りません。こうしたトラブルを回避したい場合、言われるまま納得するのではなく、法定相続分に対する正しい理解を深めてから遺産分割協議へと進みましょう。セミナーに参加して、相続に対する知識をつけておくのも一つの手です。