第122回生命保険を活用した相続税対策放送日:2020.08.27

  • 今週のテーマは「生命保険を活用した相続税対策」についてです。生命保険は、さまざまな相続対策の方法として活用することができます。生命保険の保険金も相続財産の課税対象になりますが、一定額まで税金がかからないので、この点を利用して相続税の納税資金対策を行うことができます。また、保険金はそれを受け取った人の固有の財産になることから、遺産分割協議が必要なくなり、遺産分割トラブルを回避する効果もあります。

    今回は、生命保険を上手に活用し相続税トラブルを回避したり納税資金に備えたりできる方法と、そのポイントについてご紹介します。
  • ①自分の生命保険料を生前に贈与する
    生前贈与と生命保険を組み合わせることで、納税資金の確保できるうえ、相続税の節税を実現することができます。親を被保険者とする保険を子が契約し、親から贈与を受けたお金で保険料を納めるのです。110万円の基礎控除内で生命保険料を贈与すれば、贈与税はかかりませんし、生命保険料の支払いに回るので無駄がありません。親に何かあった時点で、その保険金は子どものものになります。

    このように生前贈与と生命保険を組み合わせる対策は、税負担を抑えながら効率的に子どもに財産を引き継ぐことができる大変メリットのある方法ですが、贈与額の基礎控除内(110万円)以内の保険料を贈与することや、親が子どもの預金口座に現金を振り込み、その口座から保険料を支出することなどいくつか注意すべきポイントもありますので、専門家に相談しながら進めるのが良いでしょう。
  • ②相続での生命保険には非課税枠がある
    相続での生命保険には、死亡保険金に非課税枠が用意されています。つまり、被相続人(親)が契約者で相続人(子)が保険金の受取人となるケースでは、相続税の優遇措置がとられているのです。具体的には、相続税の基礎控除とは別に500万円に相続人の数をかけた金額が、死亡保険金の非課税枠として与えられます。例えば3人の法定相続人がいる場合には、死亡保険金は1,500万円まで税金がかかりません。
  • ③すぐに納税資金に充てることができる
    相続人(子)が生命保険に加入して、被相続人(親)から贈与を受けた現金をそのまま生命保険料に充てます。この場合、被相続人(親)を被保険者にしておくと親の死亡時に生命保険金としてまとまった金額が支払われることになります。保険によって支払われる保険金はキャッシュなので、それをそのまま納税資金に充てることができます。
  • ④誰が保険料を払うかで課税される税金が違う
    生命保険は、相続税の納税資金を準備するうえで便利な方法といえますが、誰が保険料を払い誰が保険金を受け取るかで、課税される税金(相続税か所得税か、贈与税か)が異なります。

  • 【まとめ】
    ①生命保険は、相続対策の方法として活用することができる。
    ②相続での生命保険には非課税枠がある。
    ③生命保険を納税資金に充てることができる。

    生命保険を活用した相続税対策は、大変効果のある方法ですが、贈与額の基礎控除内(110万円)以内の保険料を贈与する方法などは、早く始めればそれだけ贈与できる額が増え、効果的です。どのケースでも、実際に納める税額は、相続人の数や別の相続財産の額によって税率が変わりますので、専門家に相談して、最もよい対策を見つけるようにしましょう。