第108回みなし相続財産放送日:2020.05.21

  • Q.
    みなし相続財産ってなに?
  • A.
    亡くなられた方の財産を相続や遺贈によって直接受け取るのではなく、亡くなられたことがきっかけで財産となったものを受け取る場合があります。これを「みなし相続財産」と言います。
    例えば、亡くなられたことでお金を受け取ることができる生命保険金や死亡退職金が「みなし相続財産」に該当します。「みなし相続財産」は、相続する時点ではまだ手元に無い可能性が高いですが、いずれもらえることからもらったとみなされて相続税の課税対象となります。

    ただ、生命保険金等には非課税枠があります。「500万円×法定相続人の数」を生命保険金等から差し引くことができます。なお、法定相続人とは民法で定められた相続人のことです。

    例えば、法定相続人が妻・長男・二男の場合、生命保険金等の非課税額は500万円×3人で1,500万円となります。生命保険金の金額が5,000万円であれば5,000万円から非課税額1,500万円を差し引き、残った3,500万円に対して相続税が課税されます。なお、生命保険金の金額が非課税額以下であれば相続税が課税されません。

    死亡退職金等にも生命保険金等と同様に相続税の非課税枠があります。算式も「500万円×法定相続人の数」です。法定相続人の数が2人で死亡退職金の金額が2,000万円の場合は、2,000万円-(500万円×2人)で1,000万円に対して相続税が課税されます。なお、死亡退職金の金額が非課税額以下であれば相続税が課税されません。

    みなし相続財産は生命保険金と死亡退職金以外にもあります。
  • ①生命保険契約に関する権利
    生命保険は、保険の対象者と保険料を支払う人が異なる場合もあります。例えば、妻が保険の対象者でその保険料を夫が支払っているとします。この場合、保険料を支払っている夫が死亡すると、その生命保険契約の権利は相続財産とみなされ、相続税が課税されます。なお、生命保険契約に関する権利の相続税評価額は解約返戻金の金額です。
  • ②定期金に関する権利
    定期金とは個人年金保険など定期的に支給されるものを指します。故人が生命保険会社の個人年金などの掛け金を支払っていて、年金の受取人が故人以外の場合の受取年金もみなし相続財産です。故人が亡くなった時に年金の給付が開始されていなくとも相続税が課税されます。