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絹川グループ
トップ絹川代表 石川の文化人と語る>2008年5月 田中 正人さん
 

絹川代表 石川の文化人と語る

田中 正人さん  水墨画家  

聞き手●絹川グループ代表取締役社長 絹川善信

感性のままに

墨は心のよりどころ

「余白の世界」

絹川 ● 田中さんが水墨画を描き始めたきっかけはなんだったのですか?

田中 ● 子供の頃から絵を描くのが好きだったんです。最初は油絵を描いていました。あるとき、水墨画を習う機会があり、その時の先生が蘭の葉っぱを描いてくれたことがありました。筆一本でどうしてこんなふうに太い線や細い線の濃淡が描けるのだろう?と感動し、それがきっかけとなって水墨画を描くようになりました。

絹川 ● 水墨画の好きなところはどんなところですか?

田中 ● 描いていく中で、水と墨との含み具合、墨と紙との相性等様々な要因で濃淡やにじみ、墨の色などが表現できます。他の絵画では表現できないところ、そんなところが好きですね。あとは墨のにおいが好いです。墨をするときはすごく心が落ち着きます。

絹川 ● 水墨画は他の絵画とはまた違った独特の描き方ですが、どういうところに気をつけながら描いていますか?

田中 ● 日本画にしても洋画にしても絵の中に描かない部分というのはないですよね。ですが水墨画には余白があります。こうゆう水墨画の描かない部分というのも一つの命で、一番大事な空間になります。空間を生かすにはどんな風にしたらいいかな、などと考えながら気をつけて描いています。あとは墨の濃淡、にじみを大事にしています。

絹川 ● 作品を描く前には下書きはされるのですか?

田中 ● いえ、下書きはほとんどしません。作品は木炭などでスケッチをしますが、ある程度しか参考にしません。その時の情景を頭に焼きつける為にしています。感覚的にスケッチばかりを元にしてもいいものは描けません。それを一度自分の頭の中でいろいろと噛み砕いてから墨で描いていきます。自分の中にある感覚を大切にして描くようにしています。

絹川 ● 絵を描かれていく中で難しいところはありますか?

田中 ● 失敗したからといって、塗りつぶしてその上からまた新しく描くことが出来ません。ですが、この失敗を逆に何とかして生かしてやろうと工夫もします。しかし、ほとんどはうまくいきませんね。

絹川 ● さまざまな大きさの作品があると思いますが、一枚の作品を描き上げるのにどのくらいの時間がかかりますか?

田中 ● 100号や120号などの大きめの作品は、最終的にはひと月ほどかかります。色紙などの小さい作品になると二、三分で描く場合もあります。あまり時間をかけず、短い時間で描いた方が割と上手くいくことはよくありますね。時間をかければいいものが出来るという訳でもありません。しかし、ある程度これを描くと決めてからは早いですよ。

絹川 ● 最近は変形型のキャンバスもたくさん出てきていますね。そういったキャンバスの形も作品を描いていくのに関係してきますか?

田中 ● 描き方もキャンバスの形で変わってきます。色紙のような真四角な形は実は描きにくく、縦長や横長の形の方が描きやすいのです。大きい絵と小さい絵でも描き方が全然違います。色紙にも色紙の描き方があるんですよ。

絹川 ● キャンバスの大きさで構図も変わってきますからね。

田中 ● 構図をきちんととるのは難しいですね。描いていく中で絵のおさまりが悪いなと思ったら、余白のところに自分の名前や句をいれたりしてバランスをとることもあります。

絹川 ● 水墨画に大切な余白も、上手く使いこなしていくことによって、素晴らしい作品が作られていくのですね。


「雪解けの田」

「山聲3」

「新しい水墨を求めて」

絹川 ● 田中さんは水墨画の他に九谷焼の絵付けもされているとお伺いました。

田中 ● はい、好きな焼き物を選んで、自分の好きなものを描かせてもらっています。ときどき自分で生地から作る場合もあります。

絹川 ● どんな風に使って欲しいというイメージをもって作っているのですか?

田中 ● そうですね、「こうゆう風に使ってほしいな」というイメージは、ある程度頭の中において作ります。ですが、実際に商品を買って下さった方は全然違う風に使っている場合が多いんです。逆にそういう考え方もあるんだなと、使い方次第で作品の用途が広がり、それもいいなと思っています。

田中さんが使われている窯元「文吉窯」には、田中さんの作品が多数展示されている。

絹川 ● 絵付けのときの絵柄はどうやって決めているのですか?

田中 ● 自分の好きなものを描いています。主に水墨画の題材にしているもの、魚や蟹、植物などが多いです。

絹川 ● 田中さんの絵付けされた九谷焼の作品はどこかで購入する事ができるのですか?

田中 ● 知人の運営しているインターネットの通信販売でも紹介してもらっています。割と若い方にも好評です。後は文吉窯さんにもお世話になっています。

絹川 ● 若い方にも田中さんの作品は親しまれているのですね。最後になりましたが今後描いてみたい作品、作ってみたい作品はありますか?

田中 ● 霧や霞や空気を描いてみたいと思っています。難しいですが、うるおいのある空間を感じられるような絵を描きたいですね。自分の中で古来の描き方が出来ないで、新しいものは描けないと言う厳しい考えもあるんです。さらに勉強して、これから精進していきたいと思っています。あとは少しの筆数で作品を描いていきたいです。絵を疎かにするという意味ではなく、少しでも筆を少なめにして、自分の描きたい作品を描けるようになりたいと思っています。でもそこまでいくにはなかなか難しいですね。

絹川 ● 筆をたくさん入れていけばそれなりの作品になりますが、素晴らしい作品というのは一本の筆に迫力がありますよね。何事も極めるということはなかなか難しいことだと思います。これからも、田中さんの熱のこもった斬新な作品を拝見できるのを楽しみにしております。

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