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トップ絹川代表 石川の文化人と語る>2008年3月 三輪孝一さん
 

絹川代表 石川の文化人と語る

三輪 孝一さん 洋画家

聞き手●絹川グループ代表取締役社長 絹川善信

心に見える情景を描く

桜島に宿る時間と歴史

「絵は一生涯」

絹川 ● 三輪さんは京都のご出身で、金沢美術工芸大学の第1期卒業生だと伺いました。美大に入るきっかけは何だったのでしょうか?

三輪 ● 私は京都の生まれです。金沢に来たのは終戦後の10月です。人に使われない自由な仕事がしたかったので、美術の勉強をしようと思い金沢美術工芸専門学校(現美大)へ入りました。鴨居玲さん、村田省蔵さん、寺井重三さんとは同期生になります。

絹川 ● 終戦後の厳しい状況下で美大に通うには、大変なご苦労があったのではないかと思います。

三輪 ● 美大へ入ったものの学生時代はなかなか絵を描く暇がなく、金沢での下宿代・食費・大学の授業料などを稼ぐために2年間ほど毎日アルバイトに明け暮れていました。美大は午前中は実技の実習が主で、午後から一般教科の授業でした。私はアルバイトが終わる午後から授業に参加して、美術史・英語・フランス語・哲学などを専ら勉強していました。

絹川 ● 美大を卒業してからは、どんな仕事をされていたのですか?

三輪 ● 卒業後は、しばらく中学校で英語と社会と美術の教師をしていましたが、金沢市の中学校に転勤して美術専門の教師になりました。それから、本格的に絵の勉強をすることになりました。結果的には中学校で24年間美術教育にたずさわりました。その後、県の教育委員会に勤めさせて頂き、教育実習等の講師として教鞭をとりました。画家というよりは教育公務員ですね。この経験は私にとって大変有意義でした。

絹川 ● 教師をされながらずっと絵を描き続けていたのですね。

三輪 ● 教師をやりながら絵を描くことは大変な事です。思うように絵は描けませんでしたが、『画家になる』という気持ちはずっとありましたね。大学は4年制しかないけれど、絵は生涯描くことができます。私は周りよりスタートが遅れた分『健康に留意して、人よりも10年は長生きして描きたい』と思っています。

絹川 ● 三輪さんは30年も桜島を描き続けていらっしゃいますが、モチーフに桜島を選んだのは何故でしょうか?

三輪 ● 昔から自然の美しさを求めて放浪していました。元々山や海が好きだったので、夏休みのほとんどは県外の山や海へ行っていました。最初は浅間山に凝っていましたが、浅間山は霧が晴れる冬にしか描くことができず、せっかくスケッチをしに行っても霧がかかっていてガッカリしたり、寒さが苦手な私にははどうも相性がよくなかったようです(笑)他にも駒ヶ岳、八ヶ岳などにもずいぶん通いました。長崎にもよく絵を描きに行っていました。長崎はエキゾチックでよかったのですが、記録写真のような絵しか描けなくなってしまい、しだいに感動がなくなってしまいました。そこで、次はもっと南に行ってみようと思い、鹿児島へ向かいました。電車の窓から桜島の姿が現れたときに『これだ!』と思いました。桜島からは底知れない自然の生命力、エネルギッシュな活火山の雄渾さを感じました。それから、年に2回は必ず桜島へ足を運んでいます。

桜島 赤秋

桜島 ライブ

「桜島に脈づく魂」

絹川 ● 桜島はそこに住む人と自然が共存している素晴らしい土地でもありますね。

三輪 ● 自然と人間の共存は桜島だけではありませんが、桜島からは燃ゆるような情熱を感じましたね。桜島の静けさと華やかさは、そこに暮らす人々の魂と深く繋がっているように感じます。

桜島 燦燦

桜島 讃歌

絹川 ● 三輪さんが絵を描くときに気をつけているところはありますか?

三輪 ● 自分が感じたままを画面にぶつけるようにしています。写生の要素的なものにとらわれると内的な表現が従になりやすいのです。自然との対話を活発な身振りで表現したいと思っています。

蘇る

「情景に込める想い」

絹川 ● 三輪さんの絵からは、今有る桜島の姿だけではなく、桜島の重厚な時の流れを感じます。見る人に感じて欲しいことは何でしょうか?

三輪 ● 桜島と薩摩の人々が共存して生きてきたことは事実です。自然と人間の関係の中で現代の文化(生きざま)を築いてきました。桜島を描いているときは、可視的な世界と不可視的な世界を自由に行き来できるように思います。内的な世界を表現し、人に伝えることは大変難しいと思いますが、それは画家の宿命かもしれません。

絹川 ● これからも三輪さんの時空を超えた力強い作品を拝見できるのを楽しみにしております。本日はどうもありがとうございました。

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